スーパーステレオ導入記

 

1. はじめに

 "我が家にコンサートホールを"との願いを込め、2000年夏オーディオシステムを導入して5年が経った今、スーパーステレオとの出会いにより、やっと音楽に浸れる音場空間が我がものとなりました。 まだまだ自己満足の域を脱せられませんが、スーパーステレオを導入して以来、空間表現が素晴らしく様変わりしましたのでスーパーステレオの使用例の一つとして紹介させていただきます。

2.求める音の変化

 「生演奏の再演」―――>「聴いて心地よい音」へと求める音が変化しました。

  我が家をコンサートホールのようにしたいとの思いから当初は「生演奏の再演」を目標にシステム構築・チューニングをして参りました。 そのチューニングとは、生録したソースに含まれる環境ノイズを忠実に再現させる等、音に対し顕微鏡を覗くような接し方をしていたのです。
 結果、音楽を音として聞く習慣が身に付いてしまい音楽が楽しめなくなっていたのです。
「聴いて心地よい音」すなわち、音楽の雰囲気を楽しむ聴き方に変わったのは昨年スーパーステレオに出会ったときからです。

3.スーパーステレオとの出会い

 昨年、オーディオ仲間のM氏からスーパーステレオの存在を知らされ、早速ダイナベクターの試聴室を訪ねました。 スーパーステレオによる音の干渉のなせる業なのか、そこには小型スピーカー群から信じ難い雄大なサウンドステージが展開されていました。

  想像以上のサウンドに驚きを隠せぬまま、何の躊躇も無くその場で購入の手続きをしていました。ところで、我が家でのスーパーステレオの使いこなしは、以前リスニングルームの特性(デッド気味)改善のため無指向性スピーカーYoshii 9をリアにセットし、スーパーステレオ的に使ったことがありましたので、ダイナベクター推奨の設置を我が家なりにモデファイしスーパーステレオシステムとすることには何ら手間取らずに完成しました。
ただ、完成したとはいえ気になっていたのが、ダイナベクターのHPで紹介されている平本式スーパーステレオの存在でした。

  無理を承知の上、実際の平本式スーパーステレオを聴きたいとの願いをダイナベクターに申したところ、早速、平本氏の了解を取り付けていただき本年4月に平本邸訪問が実現いたしました。

  一聴して平本式スーパーステレオのサウンドは、求めていたそのものであり感動したと同時に何としても我が家でもその実現を目指したいと次なる欲望が芽生えたのです。
 平本式スーパーステレオは楽器群の定位が鮮明で、音の広がり奥行き感はコンサートホールの前席で鑑賞しているような錯覚に陥る程です。 勿論、美音で心地よいサウンドの洪水です。
 この日から、この素晴らしい平本式スーパーステレオのサウンドを我が家に実現するための格闘の日々が続くこととなったのです。

4.平本式と標準との融合

 当初はダイナベクターが推奨している標準設置としていましたが、平本式スーパーステレオを耳にしてからは何の迷いもなく平本式に組み換えたことは申すまでもないことです。
 ただそれだけでうまく行かないのがオーディオの難しさであり、楽しみでもある訳ですが違い過ぎです。 その原因は、平本邸と我が家とはメインスピーカーの性質が正反対なのです。

  平本邸のメインスピーカーはウーハ―を除いて全てホーンタイプでフォーカスの合った音がピンポイントで湧き出て来ます。 一方、我が家のメインスピーカー(インフィニティ イプシロン)は、中・低音以上が平面タイプで、高音域ツイーターが背面にも付いた音場型、フォーカスは甘いが雰囲気を出すことを得意としているスピーカーです。
 スピーカーの高さでは、平本邸ではツイーターが耳の高さ辺りにあり理想的であるのに対し、インフィニティの背丈は160cmです。 当然ツイーターの位置は耳よりかなり上に位置することとなります。

メインスピーカーの配置
 その様な条件の基、メインスピーカーの左右の間隔を160cmから270cmに広げ、幾分内振りとした。<サウンドスペースを極限まで広くするため>

フロント・サブスピーカーの配置
 フロント・サブスピーカーは、平本式に習い間隔を150cm程とし天井近くにリスナー直面型で仮置きした。 その音場空間は広がり感は素晴らしいものでありましたが、音像定位が天井近くとなりなんとなく落ち着かない。フロント・サブスピーカーを下方に下げれば良いのだが、スピーカーの背面にクローゼットの扉があり断念しました。

  次に試みたことはメインスピーカーの位置はそのままで、フロント・サブスピーカーをメインスピーカーの外側すなわち、部屋隅の天井に近いところに設置したところ、音場空間の広がり感はそのままで、音像定位は顔面前に展開してくれたのでこのセッティングに決定しました。

  その上、メインスピーカーの後面波とフロント・サブスピーカーが発する前面波を干渉させることによりディテールの再現性が高まりました。<標準設置のメインスピーカーとサブスピーカーによる音の干渉をここに応用した>


メインスピーカー:インフィニティ・イプシロン+Taka T BAT One
フロント・サブスピーカー:Monitor Audio Radius90 + Taka T BAT One

サブ、サイドスピーカーの配置
 サブ、サイドスピーカは天井に吊るし、平本邸と同様リスナーに向けています。


サブ・サイドスピーカー:Fujitsu10+Take T BAT One

サブ、リアスピーカーの配置
 サブ、リアスピーカーのFujitsu 10は平本邸と同様リスナーに向けています。
床置きのYoshi 9は無指向性です。

サブ・リアスピーカー:Yoshii 9+Fujitsu 10
サブ・リアスピーカー:Yoshii 9+Fujitsu 10

システム構成等詳細
 システム構成等詳細は、別添の試聴記を参照願います。

 

5.おわりに

  スーパーステレオの機能が加わったことにより、従来、平面的であった音場空間が立体的となり、更に音楽の佇まいが感じ取れる様になったことは何物にも変えがたい悦びです。

  このように我が家にも素晴らしいMyコンサートホールが実現し、心ゆくまで音楽が楽しめることとなりました。 このことは皆様方から種々ご助言をいただいたお陰であり、この場をお借りして御礼申し上げます。

                                   鎌谷駿一 記

作成日: 2005年7月7日(木)

 


スーパーステレオのTOPへ
ダイナベクターのTOPへ
MCカートリッジシリーズ
トーンアーム DV507MkII
Copyright (C)2008 Dynavector Systems, Ltd. All Rights Reserved.