スーパーステレオへのオートグラフミニの導入

 昨年10月のインターナショナルオーディショウでタンノイの新製品オートグラフミニを聴き、その足でダイナミックオーディオに行って発注したのですが、入荷が遅れてなかなか入手できず、やっと年始に入手いたしました。

このオートグラフミニをTelefunkenのL61と繋ぎ替えたところ、来ていくらも経っていないのに、まるで、ずっと前から居たような存在感を示して鳴っています。

オートグラフミニの導入

 まず、音の佇まいですが、「鳴りっぷりがいい」の一言につきるようです。パワーをぶち込んでいっても、小型の割には音が崩れません。それから点音源の良さでしょうか、関西オーディオ界にその名を知られた合唱指導者の故井伊先生のロジャースのBBC小型モニターの井伊サウンドと同様、音場が部屋全体に広がります。

 音質ですが、当初は中高域の硬質なピーキーな響きとわずかな中低域の箱鳴りが気になりましたが、エージングが進み、また、インフラノイズのマグナライザーを3点支持でかませたことによりほぼ解消しました。高域は54kHzまでの再生が可能なドーム型チタニウムダイアフラム/ネオジウムマグネットのツイーターにより、かなりディテールを良く描き出してくれます。また、低域は、サイズからして望むべくもありませんが、スーパーステレオのおかげで、TelefunkenのL61と比較して遜色はありません。中低域は箱の材料がバーチのせいか、よく響きわたります。全体としてタンノイとしてはニュートラルな音ですが、敢えて言えば、タンノイ一族ではレッド一家に近い質感があります。

 ソースとの相性ですが、インターナショナルオーディショウのデモと同様、結構Jazz系にフィットします。ソニーロリンズやMJQがそれらしく鳴ってくれます。特にシンバルに力があり、スーパーステレオのおかげでベースが弾むのがご愛嬌です。

 クラシックでは、意外にも室内楽よりもオーケストラに威力を発揮します。音量をあげても音が崩れないこととディテールを描き出すこと、金管がばんばん鳴ることが取り柄です。アルプス交響曲やサンサーンスのオルガンが聴けるミニスピーカーと言えます。

 一方、弦楽合奏や木管などではTelefunkenのL61のソノリティの良さにかないません。また、ピアノでもわずかなキャンつきがあり、TelefunkenのL61の方が全音域のバランスが良いようです。新潟のビンテージショップ「しなの音蔵」で最初にTelefunkenのL61を購入したのがピアノの先生で、オールペーパーコーンのくせにピアノが良く鳴るスピーカーということで、オートグラフミニの弱点というよりか、Telefunkenの異能ぶりといった方が良いでしょう。

 ボーカルも硬質になるのではないかという危惧もありましたが、TelefunkenのL61といい勝負をします。声の張りでオートグラフミニ、声の質感でTelefunkenでしょう。

 アンプとの相性では、現在のアンプがLangivinの6V6ppですので、タンノイはやはり直熱3極管シングルが合うかもしれません。また、現在使用しているバードランドのDACがマランツのSA-11S1のDACと比べてドライな感じがしますので、マランツのプレーヤーSA11-S1の質感をグレードアップできるDACの導入が気になりだしました。

 なお、オートグラフミニの導入に先立ち、リアのEMIのモニターとパラに繋いでいたBAT1をフロントのLINとパラに繋ぎました。添付の写真では、TelefunkenのL61の上にあるムラタのES103Aが実際にはメインのオートグラフミニとパラに繋っており、オートグラフミニの上にあるBAT1は、壁掛けのフロントスピーカーのLINとパラに繋いであります。BAT1をフロントのLINとパラに繋いだことにより、ステージの前方向からの反射音をシミュレートできるせいか、一段と奥行き感が出てきました。現在のブロックダイアグラムも添付しますのでご参照ねがいます。

ブロックダイアグラム

 アナログでは、foQのスタビライザーを購入しましたので、一段とSPUの艶が向上しました。つまり、foQのターンテーブルシートとスタビライザーでLPをサンドイッチにしています。

 以上、スーパーステレオとの相性では、オートグラフミニの点音源の良さとスーパーステレオの臨場感増強作用が好結果をもたらしていると言えます。今後の課題としては、好みの問題かもしれませんが、若干残っている硬質感を取るために、3極管アンプにするか、DACを替えるかということでしょう。

 結論としては、オートグラフのイメージが先行すると失望すると思いますが、小型スピーカーの概念を変えるまったく新しい小型スピーカーであり、オートグラフミニは「小さな巨人」と言えるでしょう。

 

 

越の聴楽酒仙坊 記


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