TSR2はジェット爆撃機キャンベラの後継機として1957年に開発が始められました。
機体仕様は核兵器搭載、低空超音速侵攻,無給油長距離飛行(1850km)、不整地からのSTOL、最
高速マッハ2.75等々、当時の最新技術をリードするものでしたが、開発に長期間を費やし、予算超過も莫大な金額となってしまいました。
1964年9月に初飛行し、その結果は良好なも
のでしたが、運悪く、TSR2の予算超過を非難する労働党が政権を取り、初飛行からたったの半年後に計画はキャンセルされ、関連器材は全て廃棄、完成していた機体の飛行すら禁止されると言う、恣意的とも見える過酷な処置が取られました。
TSR2を失った英空軍はアメリカのF111を購入する事になりましたが、これも後に予算削減でキャンセルされ、最終的には音速すら出ない不細工なバッカニアをあてがわれてしまいました。
TSR2のキャンセルには、ヴィッカース・グループと繋がり、バッカニアを押すマウントバッテン卿の政治的圧力も有ったと言われ、優れた機体の廃棄決定は今にいたるもスキャンダルとして伝えられています。結果的に、イギリス航空機産業はこれ以後自力で超音速機を開発する能力を失う事になってしまいました。
- 全幅 11.28m
- 全長27.13m
- 最高速度 マッハ2以上
- 2xブリストル・オリンパス
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